おととい、昨日、今日と鋳造作業に勤しみました。熱量の消費の多い仕事なので、およそ月に1度まとめてとりかかります。
写真は、錫(すず)地金の溶解作業。比較的融点の低い金属素材のため、鉄製の釜・天然ガスでの溶解が可能です。溶解しても色は変わらず、錫独特の銀色のまま。(ちなみに銅合金の溶解には、コークスや重油を用います。専用の炉が必要なため、弊堂では青銅・黄銅の鋳造は外部に委託しています。)
金属にはそれぞれ、特有の「香り」があります。鉄には鉄の、銀には銀の「香り」があります。錫は、そのもつ甘い香りがお酒とよく合い旨味を引き立てるといわれています。融解中は香りが最も強くなり、鋳造作業をしていると家中が「錫の香り」に包まれます。
(実は作業中、水蒸気爆発で右手に火傷を負ってしまいました。文化博物館展覧会のことを、ボーっと考えながら作業していたのが因。)
(清課堂工房より)