「メゾン・エ・オブジェへの出展報告」
2009年1月23日~27日、パリで開催される『メゾン・エ・オブジェ』に初参加いたしました。
『メゾン・エ・オブジェ』とはインテリアデコレーション・デザイン・家具の見本市であり、ヨーロッパはもとより、アジア、アメリカなど多くのインテリアに関わる業者が一同に介す、世界最大級の展示イベントとなっています。
弊堂が出展した目的は「京都の錫製品・金属工芸品に対する、世界の人々のレスポンスをこの目で見、耳で聞き、直に感じること」です。私自身ヨーロッパに行くこと自体初めてのことでしたので、見るもの触れるもの全てが貴重な体験となりました。
会場の巨大なホール。全体では東京ドーム6個分の広さがあります。
そもそも、フランスやパリには憧れもありました。車、映画などパリ現地の空気や価値観の影響も受けておりました(フランスの自動車「シトロエン」に乗っていますから)。また偶然の出会いや周囲の人からパリの話を聞く機会があったことから、普段の生活の中でもとても意識をしていた「場」であります。
正直、『メゾン・エ・オブジェ』への出展よりも、私自身が意識していたのは「パリ」であったかも知れません。
各国を代表するような企業ブースは大きく、設営は重機で行われます。
『メゾン・エ・オブジェ』の第一印象は、出展されたものや参加されている方々の多くが【流通】というキーワードを軸として、多くのモノと人が集まる「場」であったのだと思います。これは、弊堂が意識していたいモノの本質としての文化や伝統、哲学ではなく、より「商材」という視点がより際立っていた気がしました。もちろん弊堂もモノを商いさせていただいてはいるのですが、これは少し残念な印象でした。
そんな中、『メゾン・エ・オブジェ』にも、多くではありませんが同じ目線や価値観を抱いた人やブースもあり、まさに心の拠り所として頻繁に足を運んでおりました。それは「L’ESPACE」や「TALENTS A LA CARTE & CREATIONS DE CHOIX」という、小さな工房や芸術家が集まっている区域でした。
その「TALENTS A LA CARTE」は、クリスタルが有名なスワロフスキーがプロデュースしたHall 5Bの広い壁面を使って、セレクトされた作家が作品を展示していました。
サイトより引用 >>
Odes to nature, homages to tradition, a celebration of the senses… our talents of the season draw their inspiration at the source of life with a freshness full of irony and poetry. <<
■ talents a la carte ■
https://www.maison-objet.com/
芸術はそのモノ作りにおいて本質が顕著に出るのだと思いますが、彼等アーティスト達の中で印象に残ったのがArmel Barraudさんでした。彼女は金属ワイヤーをその表現媒体として選んでおり、彼女の視線の先に描かれたものがその場にとても素直に表れ、言葉、文化、価値観の違いという隔たりを越えて心に響きました。私が受けたその衝動はより多くの方にも触れていただきたく、今後はそんな機会も作っていければと考えております。
会場設営中の内部。開催中は原則写真撮影禁止でした。
『メゾン・エ・オブジェ』という世界の人々やパリの文化に触れる機会を通じ、弊堂の考える「価値観」を信じ続けることが確かなこと、今までもこれからも尽力することがとても大切であることを改めて意識できた大変貴重な機会ありました。
今回、京都商工会議所さんから声をかけていただき、出展・視察が実現いたしました。このような機会を与えていただいたことを、大変ありがたく感じております。
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