中国茶への趣向が高まる中、ご自宅でも本格的な茶器でお茶を淹れたいという声も多く聞かれます。中国は、清課堂が展覧会などを通して、深く関わってきた地です。
各所を何度も訪れ、書家や現代美術家、工芸に造詣の深い経済界の方々などと交流を重ねるうち、茶を愛し、親しむ彼の国の文化に触れ、感銘を受けました。茶を囲んで語らう、ゆったりとした時間が心地よく、私たち日本人も、暮らしの中でもっと茶を楽しめないものかと、茶の器への創作意欲が掻き立てられ次第です。現地では伝統的な茶道具の産地や工房、日本でいうところの人間国宝の先生方のお宅へお邪魔して、素晴らしい工芸品に触れる幸運に恵まれることもありました。
今回、発表する急須のモチーフやデザインの源流は中国にありますが、清課堂ならではの解釈と表現を取り入れ、得意とする素材や技術を用いております。弊堂がこれまで培った美学のエッセンスを凝縮して製作した茶の道具となります。
錫 周之字急須
「周」の字をかたどった急須です。あまねく隅ずみまで十分に行き届く、めぐる、整う、緻密などの意味を持つ縁起の良い文字を意匠として製作しました。
漢字をモチーフにした造形の展開は、工芸の世界で古くから用いられている手法ですが、デザインそのものは古典とは異なる弊堂オリジナルです。伝統的な工芸品にインスピレーションを得つつ、モダンさを感じさせる茶道具へと昇華させています。
肌合いは細かい石目で仕上げ、持ち手は藤で巻きました。蓋の摘みに用いた大ぶりの翡翠がアクセントとなっております。
錫 半月式急須
中国式の急須では古典的な、半月型の形状を取り入れた品です。
平らな側面をキャンパスに見立て、詩歌や風景画を彫り込んだ誂えもよく映えますが、こちらは文字や絵を描かず、鎚目で装飾いたしました。金属工芸ならではの魅力が際立つ造形です。注ぎ口には磨きを施し、異なる肌合いにすることで、豊かな表情を与えました。
錫 西施急須
中国四大美女のひとり、西施(せいし)の名を冠した急須です。
中国では古の時代、ふくよかな女性が美しいとされたことから、丸みを帯びた女性的なフォルムの急須を西施に例えてきました。
ぷっくり愛らしいかたちに似合う円い翡翠の摘み、精緻に施された鎚目、藤巻きの持ち手など、ちりばめられた工芸の技を美味しい茶と共にお楽しみください。
錫 独楽形急須
中国では古来より、独楽形の急須が親しまれています。
日本においては陶製の急須にこのような形は見られないものの、金属製の銚子には昔から独楽をかたどったものがあり、清課堂でもたびたび手掛けてまいりました。
異なるルーツで似た発展を遂げた造形が、時を経て邂逅する面白味を感じていただけるのではないでしょうか。縁の繋がりと共に、鎚目の肌合いや上品な輝きを楽しんでいただける品です。
いずれも中国茶、日本茶と用途を限定せず、暮らしの中で気軽にお使いいただければと製作いたしました。“四者四様”の急須で、茶と茶道具のある時間をお楽しみください。
お買い求めについて
京都寺町二条の店舗の他、オンラインストアからもご購入いただけます。
・錫 周之字急須(すず すのじきゅうす)※ SOLD OUT こちらの製品は完売いたしました。
・錫 半月式急須(すず はんげつしききゅうす)
・錫 西施急須(すず せいしきゅうす)
・錫 独楽形急須(すず こまがたきゅうす)
清課堂オンラインストアでは、この他各種新作も取扱いしております。