コーヒー好きのお客様より、コーヒーポットのご用命を頂きました。飾り金具などの装飾は出来るだけ省き、シンプルで使いやすいことを目標にデザインしてゆきます。今回はある程度、お客様の方でイメージをお持ちのものを具現化する作業となりました。場合によってはラフスケッチの類もなく全く白紙の状態から製作を進めてゆくこともあります。
いただいた情報をもとにして、こちらでもスケッチを重ねてゆきます。今回はざっと5種のご提案をさせていただきました。
今回は “銀” で製作とのご要望でした。銀は貴金属と呼ばれるだけあって、地金だけでも相当の金額になります。特に粘り気があって加工しやすい純銀(99.9%)を用います。固い銀合金よりも価格が上がりますが、故障が少なく将来的な修理も易いため、純銀をお勧めします。
工芸素材としては優秀な銀ですが、弱点を強いて言えば熱伝導率が高いために蓋のつまみや取手(持ち手:ハンドル)が熱くなってしまうことかと思います。ある程度の放熱も考慮して、中空構造にする必要もあります。
情報交換を繰り返し、細部まで煮詰めてゆきます。ドリッパーへ湯を落とす所作を考慮して、注ぎ口は当初の計画よりも長くお作りさせていただきました。