金属工芸で用いる各種金属素材には持ち味や特性があって、それを巧みに活かし、用途やデザインによって使い分けます。今回は弊堂が江戸後期の創業以来得意とする「錫」についてご紹介いたします。
●融点が低い
加熱して溶け出す温度は低く、およそ摂氏230度で溶解します。低い温度で解けるため、製作には溶鉱炉が必要ありません。鉄や銅に比べると高度な設備が必要なく、街中の民家でも製作が可能です。直接火に掛ける器(湯沸や鍋)は作れません。
●非常に柔らかい
布や紙、指で触れても細かい傷がつきます。器を落とせば当然凹みます。永く使用していると、器によってはキズだらけになります。傷付くことによって生まれる寂びた美・味わいは深く、最大の長所でもあります。使い込み使うほど風合いが増すのが特徴で、錫器の見た目の美しさは、その柔らかさによるところが大きいようです。
●よい香りがする
金属にはそれぞれ固有の「香り」があります。錫にももちろん香りがあり、そのもつ甘くフルーティな芳香は、茶や酒を引き立てると愛好されています。
●エコ素材
古来より、万一壊れても修理しながら使うことはもちろん当然のことながら、どうしようも使えなくなったものも、一旦溶解して新しいものに作り変えています。古くなったものを地金として引き取り、新しいものをお納めするシステムも確立しています。循環型社会に合う、非常にエコな素材です。
●製造方法
製作方法は大きく分けて、ロクロで削りだす切削製法と、金鎚で打ち出す鍛造製法があります。
写真は、2006年春の新作「船徳利」(三合入:12×12×13センチ)。限定15個を製作しました。
SOLD OUT ※こちらの製品は完売いたしました。現時点での製作の予定はございません。
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