金属で出来た豆皿を公募した展覧会「いまからまめさら2013」におきまして、21日(土曜日)午後6時より、授賞式および交流パーティが行われました。今回の出品作家たちにも大勢お越しいただきました。
出品点数およそ200点のなかから、栄えあるグランプリ「山中源兵衛賞」は、横浜市の丸山祐介さんによる「マチノカケラ」に決定しました。
この作品は、お盆ほどある丸い大きな板を、まるでパズルピースのように個々まちまちの形に切り取った集合作品。お皿にうっすらと浮かび上がる紋様は、京都の市内の地図だそうです。形が似ていることもあって、ピースを合わせるには結構な労力と時間を要する、難易度の高いパズルです。また、作品には一つ、小さな星を象ったパーツが付いています。星は貼り付け式になっていて、京都の地図の好きなところに置くことが出来ます。思い出の場所、行きつけの場所において楽しむことが出来るそう。
たまたま今回は清課堂での公募展のために京都地図がモチーフとなりましたが、世界のあらゆる街を作品に組み入れることが出来る可能性、広がりも感じました。
素材は銅、エッチング技法による紋様、錫仕上げとなっております。
第2回目となる今回は、特別賞として「ライフ・ビヨンド・ツーリズム賞」が設けられました。京都市と友好を結ぶフィレンツェ市に本部を構える、「ロムアルド・デル・ビアンコ財団」からの授与となります。この財団は、1998年に設立された文化振興財団です。これまでの世界59カ国、ユネスコと連携しながら、展覧会やコンサートといった文化イベントの開催、博物館収蔵品の修復、世界各地の遺跡発掘調査の支援するとともに、それらとツーリズムとの相互促進のため『ライフ・ビヨンド・ツーリズム』を提唱しています。京都とフィレンツェ、同じ歴史都市として、これからも相互に文化交流を続けて行くことを確認しあい、この賞の設置にいたりました。
ロムアルド・デル・ビアンコ財団 パオロ・デル・ビアンコ会長より審査講評を頂いております。
この「ライフ・ビヨンド・ツーリズム賞」は、金沢市の浦中廣太郎さんによる「金・色・豆・皿」に決定しました。
副賞として、ビアンコ会長自ら経営するイタリア・フィレンッェのホテル、2泊3日無料宿泊が送られました。
また、 今回惜しくも受賞は逃しましたが、4点(組作品)を佳作とし茶室に特別に展示しました。それぞれ、豆皿という言葉の解釈、素材の長所を巧く活かしてあること、技術の裏づけが秀逸な作品たちです。
ICHIGO / ICHIEI
銅・漆
堀江 篤子 作
銅を加熱し独特の紋様を出現させた作品。はっきりとした朱色が特徴的。
錫 豆 皿
錫
西原 祐騎 作
小さく愛らしい、豆皿の骨頂。高さ、深さがあり、生活の具としても使いよい器といえそう。
窶鉄豆皿(やつれがねまめさら)
鉄
加藤 貢介 作
本作は、野外で数年間放置し、十分に「銹び」を発生させた鉄を素材としています。表面の大小様々な凹凸は、銹びることで得られる、いわば鉄独自のテクスチャーと言えます。自然の力が作り出した素材に加工を施しました。
しずく
銀
植田 千香子 作
ユーモラスな形と、研ぎあげた光沢のバランスが絶妙。
いまからまめさら2013 ごあいさつ
金工は、我が国独自の技法が平安時代に確立されて以来、建築・宗教・嗜好品・武器など幅広い分野において長く息づいてきました。そして現在でも大学を中心として、その教育環境は大変充実しています。しかしながら設備準備・工房立地の困難さなどから、他の工藝と比較して、従事者が非常に少ないのが現状です。
このたび清課堂では、第二回目となる公募展『いまからまめさら2013』を開催する運びとなりました。
海外からのご応募も含め41名によって手がけられた「豆皿」という広く知られたうつわを、地位実績問わず一堂にご紹介させていただきます。この展覧会が一人でも多
くの方に金工の世界に触れていただける機会となることを願っております。
開催にあたり、本展の趣旨にご賛同いただき、ご出品いただいた皆様、貴重なご助言を賜りました関係者の皆様方、ご協力をいただいた全ての方々に厚くお礼を申し上げます。
清課堂当主 七代目 山中源兵衛
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