展覧会を終えて アルメル・バロー 「Dans la verdoyance du mille-fleurs ~ミル フルールの茂みの中で~」

2014.11.22  Armel Barraud 展覧会 展覧会レビュー

2014年10月4日(土)~10月26日(日)まで、フランス人アーティスト、アルメル・バロー展覧会 「Dans la verdoyance du mille-fleurs ~ミル フルールの茂みの中で~」を開催いたしました。

アルメル・バローの清課堂ギャラリーでの展覧会は4年振り2回目の開催となります。又、当ギャラリーは今年で4回目の開催となった現代アートの祭典「ニュイ・ブランシュKYOTO」のサブ会場として参加し、彼女の作品を通じ、日仏のアートの交流の場の一つとなり、皆様に楽しんでいただけたことを嬉しく思っております。

アルメル・バローは、1979年生まれ、フランス、ル・アーブルの出身。パリの応用芸術学院と装飾美術学院で学び、伝統的なボビンレース編みの職人との出会いから強くレース編みに魅せられたのがきっかけとなり、ボビンレースという消えゆきつつある無形の遺産から新たな活用法を模索し繊細なワイヤーを編み作品として私達に伝えています。
2010年に初めて日本に来日し、当ギャラリーでも展覧会を開催。 現在はパリを拠点に活躍し、シャネルやミナぺルホネン等の為にも制作を行っています。

Variation autours de la Dame à la licorne (3)

Variation autours de la Dame à la licorne (3)

 

アルメル・バローの作品

彼女はさまざまなものからインスピレーションを得て、彼女の想像の世界の中で物語となり、彼女の指先を通じ新たな形となって体現される。その作品は観賞者に伝わることにより、さらなる新たな想像の世界へ誘われ、一人一人のそれぞれの新たな物語の中で生き続け、想像力を刺激し掻き立てる力を秘めた作品。

その力の源泉は、彼女の尽きることのない想像力と、作品を照らす光によって生まれる “ 影 ” 。特に自然の光の中では、刻々と変化しその時、その瞬間の様々な表情を見せます。彼女自身が制作してゆく過程の中でも、影は刻々と変化し続け、その変化により、さらに彼女の想像力が掻き立てられ生みだされている。

今回の展覧会 「Dans la verdoyance du mille-fleurs ~ミル・フルールの茂みの中で~」は、展覧会タイトルともなった “ mille-fleurs ミル・フルール ” からインスピレーションを得た作品を中心に32作品の展示となりました。

※ミル・フルール(Mille fleurs / 仏語、千花模様 / 日本語)とは、複雑で小さな花や植物が一面に広がる模様のことで、花や植物の間には、小動物や鳥たちも隠れている。草花の種類は、毒消しのために使われる薬草や、イエス・キリストや聖母マリアを象徴する花、忠義・貞節などを意味する花などが選ばれています。 有名なタペストリー “ 貴婦人と一角獣 ” は、ミル・フルールの代表作とされています。

実際、彼女自身も “ 貴婦人と一角獣 ” を観て感銘を受け、今回のミル・フルールのシリーズを手掛け始めています。しかし、彼女は皆が注目する貴婦人と一角獣のモチーフよりも、その背景に広がるミル・フルールの茂みの中に息づく動植物にインスピレーションを刺激され、“ La verdoyance d’Armel Barraud ~アルメル・バローの茂み~” を見事に体現し、私達を彼女の茂みへと誘っています。

 

又、今回は、子供を抱いた女性、溢れんばかりの花を両手に抱えた女性、魚売りの女性・・・・様々なタイプの女性達がモチーフとなった作品も発表。
ミル・フルールの動物達とは少し違い、アルメルの女性達は観る者に語りかけてきます。
ほのかな光に照らされた彼女達をじっと見つめていると、いつしか彼女達と観る者との間で対話が始まります。その日、その時の観る者の心の内にあるものを引き出す様な、どこかそんな力、魅力をを秘めた女性達に遭わせてくれたのではないでしょうか。

Elle attrape

Elle attrape

2010年の、日本での初めての展覧会をご覧いただき、今回を楽しみにしてお越し下さったお客様も多く、皆一様に仰られていたのは 「4年前より、より一層編み方も繊細になって、ますます良い作品になっていますね」と。
その言葉の通り、この4年間で、技術的なことも然る事ながら、彼女自身の人としての変化や成長が、作品の表情をより豊かにし、ゆるぎのないアルメル・バローの世界として確立されたと言えるのではないでしょうか。

これからも彼女を見続け、次はどんなアルメル・バローの世界を持って日本へやってきてくれるのか今から楽しみにしています。

Armel Barraud

Armel Barraud

 

(staff  nakano)