2015年5月29日に京都を発ち、ミラノ、パリ、フィレンツェ3都市で4つの展覧会(企画展参加を含む)を開くとともに、フィレンツェ-京都友好都市提携50周年記念事業にも参加してきました。帰国まで16日間におよび、休む間もなく移動するスケジュールでしたが、実に収穫のあるプロジェクトとなりました。その場所、その時期でしか見られないものも数多く体験してきました。それらを2回にわたってご紹介してまいります。
フィレンツェ「日本の金工のいま」 清課堂 山中源兵衛 展
2015年6月8日(月)~10日(水)10:00~17:30
フィレンツェ チェントラーレ 「パラッツォ・コッピーニ」館 2階特設会場
Via del Giglio, 10 – Florence Italy
ミラノから場所を移し、8日(月)よりフィレンツエ市内中心部に位置する「Palazzo Coppini(コッピーニ館)」にて、展覧会を開催しました。
このコッピーニ館は、清課堂主催の公募展「いまからまめさら展」にて「ライフ・ビヨンド・ツーリズム賞」設置にご協賛いただいている、文化財修復保全や国際交流を目的とした「ロムアルド・デル・ビアンコ財団」の本部でもあります。世界的に有名な、サン・ロレンツォ聖堂、サンタマリア・ノベッラ聖堂のすぐそばにあり、世界からの観光客であふれる賑やかな地域でもあります。
会場スペースはミラノ会場に比べると半分程度の面積しかありませんが、清課堂を代表する作品たちに加え、金属工芸の歴史を記したパネルや製作風景の動画映像なども併せて展示しました。
ちょうどこの時期は、京都市とフィレンツェ県(判りやすくフィレンツェ市と言われることが多い)との姉妹都市提携50周年にあたり、各所で記念式典や多数のイベントが多数行われています。同コッピーニ館でも、清課堂以外に美術工芸、和装の作品展示がいくつか行われていました。
隣接する講堂を備えた会場「アディトリアム・アル・ドゥオモ」でも、作品展示やショーが行われていました。お蔭様で清課堂の展覧会には、一般の来場者だけではなく同じく京都から来られた方、各行政関係者も多数お越しいただきました。前述の「いまからまめさら」展にて2014年度にライフビヨンドツーリズム賞を受賞した小山泰之さんの作品”FOLD”は、その隣接会場での展示となりました。
アディトリアム・アル・ドゥオモでは、未生流笹岡御家元による花手前。ピアニスト、横山緑氏とのコラボ。
ロムアルド・デル・ビアンコ財団主催のレセプションパーティ。夏季乾期でかつ夜の短いサマータイムのため、遅い時間の屋外でもかなり過ごしやすい季節です。コッピーニ館の中庭で開催されました。
京都市長、市会議長、市議員団にもご来場頂きました。お蔭様で、地元のマスメディアにも取り上げていただくことが出来ました。
デザイン、ファッション、商業の都であるミラノでの展覧会とはうってかわって、歴史観光都市フィレンツェでの展覧会は50周年イベントと相まって、まるでお祭りのようでした。わずか3日間のみの展覧会でしたが、ミラノ展とはちがった意味で実りあるものとなりました。
フィレンツェ県/トスカーナ州との交流事業
清課堂は2009年にはじまり、イタリアとの文化交流を続けています。
今まで、トスカーナ州から送り込まれた若手デザイナーを研修で受け入れたり、トスカーナ州に本拠をおくアーティストを招聘し展覧会を開催したり、また清課堂の若手職人をフィレンツェの銀器工房に研修に送り込んだりと地味に活動を続けてきました。昨年2014年は、ライフ・ビヨンド・ツーリズムエキスパートメンバー総会でスピーチをさせていただいたりもしました。
この親しみのあるフィレンツェで、今年はとくに大がかりな行政あげての式典や交流事業が目白押し、私山中源兵衛もいくつかの事業に参加させていただきました。
5日(金)は、私の属する京都の老舗と大学との合同研究組織「京都老舗の会」と「イタリア老舗協会」との交流事業として、共同フォーラム「京都とイタリアにおける長寿企業の経営戦略について」(於:ファッブリコッテイ邸)が開催され、京都とイタリアの老舗、現地メディア関係者、研究者、パリから移動された京都府関係者のおよそ50名とともに参加しました。京都から2社のプレゼン、イタリアからは10以上のワイナリーを束ねるワインメーカー「アンティノーリ」社の現御当主、「サンタマリアノヴェッラ薬局」の現御当主によるそれぞれのプレゼンは、企業が永年継続し繁栄してゆくためのヒントが多数ちりばめられてい、大変感銘を受けました。
同日夜は老舗リストランテ「サバティーニ」にて京都府主催による、トスカーナ州行政関係者、イタリア老舗協会メンバーをお招きした盛大な晩餐会が開かれましたが、乾杯はスプモーニに代わって発泡性の日本酒、お料理は日本料理アカデミーメンバー自らの手にによる本格的な会席料理となりました。京都から遠く離れたイタリア料理店で、京都のそうそうたる超有名京料理店のご主人たちの作品を体験することができました。この席では長年清課堂がお世話になってきたイタリア側の行政関係者に初めてお会いすることが出来たり、イタリア老舗協会の方々との新たな出会いも生まれ、今後のイタリアとの懸け橋がさらにまた広がりそうな予感です。
ちなみにこの晩餐会のあと、日本料理アカデミーの面々は、ミラノへと移動され万博日本館会場にて腕を振るわれたそうです。
京都市使節団は、姉妹都市提携50周年記念式典を終えられたあと、コッピーニ館とアディトリアム・アル・ドゥオモを訪問され、清課堂の展覧会をはじめ様々な展示、ショーをご覧になりました。そこで、ロムアルド・デル・ビアンコ財団と使節団、私を含む出展者で記念撮影を行いました。
ここは昨年、私がスピーチをさせていただいた思い出の場所でもあります。
京都市主催による、周年記念事業参加者を招いての答礼パーティ。フィレンツェ郊外にある、イタリア老舗協会のメンバーでもあるワインメーカー「アンティノーリ」のワイナリーにて行われました。直接周年事業、使節団とはかかわりが無かったのですが、展覧会をご覧いただいたご縁で参加させていただくことが出来ました。
京都市長、市議団、京都商工会議所、京都のライオンズクラブ、京都商店連盟、京都国際交流合唱団の方々など、京都ではなかなかゆっくりお話する機会のないかたがたと、この機会に交流を深めることが出来ました。
ミラノ万博日本館「京都ウィーク」企画展
“La millenaria Tradizione dell’alto Artigianato di Kyoto”
2015年6月7日(日)~11日(木)
ミラノ万博会場「日本館」イベント広場,RHO-FIERA,Milano,Italia
ミラノ万博の日本館では、週替わりで様々な特色あるイベントが行われています。その中で、ミラノ国際博覧会京都ウィーク実行委員会(京都府/京都市/京都商工会議所等)主催による京都ウィーク「日本の美意識の原点京都~伝統と革新~」が開催されました。日本の美意識の原点ともいえる京都を、御来場の皆様に肌で感じていただくために、京料理の実演、工芸品の展示、芸舞妓の舞などが披露されました。
その中で、清課堂は陶磁器工房や蒔絵工房、竹材商とともに、食卓をテーマとした京都府企画のテーブルウェア展示”La millenaria Tradizione dell’alto Artigianato di Kyoto”(直訳:京都の工芸家たちによる高次元の伝統)に参加しました。
清課堂からは、直径35センチの新作の銅製大皿をはじめ、蒔絵師下出祐太郎氏との合作銀製のカトラリー数種、錫製の酒器数種を出品しました。アートディレクターMicaela Metri氏が事前に京都府下の伝統的工芸工房を巡り、とくに気に行った工房へ声をかけてこの企画展示に向けた特製品の製作を依頼しました。
残念ながら私は期間中に会場へ伺うことが出来ませんでしたが、日本館は万博会場の中でも1~2時間待ちはざらのもっとも人気のあるパビリオンであり、連日来場者で溢れかえっていたそうです。
関連するご案内
イタリア、パリでの展覧会レポート前篇「欧州での展覧会、交流事業ご報告 その1」
(Yamanaka)