ちろりの持ち手 付け替えお直し

2010.05.21  酒の器

ちろりの取っ手

こちらはよくある故障の一つ、持ち手の捻じ曲げです。溶接され固定されている持ち手が、無理やりに捻じ曲げられることによる金属疲労の一種です。針金を同じ箇所何度も曲げていると折れてしまうのと全く同じ理屈です。

持ち手の前の台座は根本から外れ、後方部分も疲労し痩せてしまっています。こうなってしまうと新たな持ち手に付け替えるしか方法がありません。この故障は、お店様でのお使いに多いのが特徴です。

*近年「曲げられる錫のうつわ」と称した製品が出回るようになりました。

「曲げられる」のは物理的にやわらかく曲がりやすいというだけであって、もともと曲げてもよい素材ではありません。すずの別名を”シャリがね”とも呼びますが、曲げるとシャリと組織が崩壊して音が鳴ります。何度も曲げていると、金属疲労をおこしてひび割れしたりちぎれたりします。くれぐれも錫のうつわは曲げないように(鋳物製のものとくに)お願いします。

 

修理について

弊堂では、洋の東西を問わず金属工芸品の修理を承っております。日々作り続けているもの、オーダーメイド品の他にも、傷んだ金属工芸品の修理も私どもの大切な仕事です。物理的な可否や工費の大小はございますが、まずは私どもにご相談ください。詳しくは「修理について」をご覧ください。

※他社製品の修理に関して:金属製品は他の素材に比べ寿命が長いことから、業者にはその製品の修理の責任があると弊堂は考えています。また製造業者は素材や技術を熟知している分、弊堂よりも工賃が安価に収まることの方が多いです。メーカー・販売店が現存する場合、先ずその業者に修理をご依頼ください。