仏教、茶の湯の興隆とともに育まれた日本独自の金属工芸。
仏像や梵鐘、建造物の一部である法輪や燈篭、具足をはじめとする各種仏具など。茶の湯においては花入、建水、蓋置に至るまで、様々な製品やそれらを作り出す技術が生まれてきました。
その中でも、銅鋳物は最も古い技術であり、成形・着色など多くの技法が脈々と受け継がれてきました。ここ京都ではとくに寺社が栄え、また茶の湯文化が興隆した地でもあることから、多くの鋳物工房が生まれ今も市内各所に点在しています。ほかにも北陸地方や東北地方にも鋳物工場がわずかながらも残っています。
近年、仏具や茶器の需要が低迷していること、加えて床の間のない生活様式への変化もあり、それらを主に製作していた工房にとっては苦しい時代が続いています。よい銅鋳物を作れる技術者も少なくなってきました。職人から職人へと受け継がれる技術は一度、失われてしまうと二度と手にすることの出来ないものです。
このご時世にあえて清課堂は、銅鋳物の製作に本格的に力をいれてゆくことを決めました。まずは香を楽しみかたちを愛でる香炉の新作に取り組んでいます。
青銅 三猿香炉
誰もが一度は耳にすることわざ「見ざる、言わざる、聞かざる」。
他人の欠点やあやまち、また自分にとって都合の悪いことは見ない、聞かない、言わないほうがよいという戒めです。
京都市東山にある八坂庚申堂は、天徳四年に創建された日本最古の庚申堂です。中国の道教由来である庚申信仰の霊場として古くから親しまれてきました。
庚申とは干支の「庚(かのえ)」「申(さる)」の日。猿は庚申の使いとされ、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が境内のいたるところで出迎えてくれます。
この香炉は、その三猿を香炉の脚として配しています。それぞれの猿が己に問いかけてくるかのようです。3つの顔を持つこの香炉。その時々に合わせて香炉の向きを変えてお楽しみください。
青銅 三猿香炉(せいどう さんざるこうろ)
・およその大きさ:w110×d110×h90(mm)
・およその重量:1kg
唐銅 獅子香炉
獅子ならではの豊かな巻き毛に覆われ、幻想的な形状をした香炉。
屏風や衝立、襖絵に描かれる獅子は、細身でするどい眼光をこちらに向けている姿が思い出されます。
この香炉の獅子は、どことなくユーモラスな顔立ちと、そのずんぐりとしたフォルムによって愛嬌のある姿をしています。顔を上げ、覗き込む人を見つめるその姿は、獅子とは思えぬ愛らしさを感じます。
獅子の頭部が開閉する仕組みになっています。
唐銅 獅子香炉(からかね ししこうろ)
・およその大きさ:w110×d110×h90(mm)
・およその重量:1kg
唐銅 豆獅子香炉(からかね まめじしこうろ)
・およその大きさ:w65×d75×h90(mm)
・およその重量:340g
白銅 獅子香炉
どことなくオリエンタルなイメージを漂わせる獅子をモチーフにした香炉です。
その昔、まだ見たこともない獅子の姿は、聞き及んだ特長とともに、その国の様式を取り込みながら図案化されてきました。
この香炉の獅子は、四肢をそろえ甲冑をまとったような、凛とした出で立ちをしています。シルクロードを渡って来た正倉院の宝物に見られる、ギリシャ、ローマからインド、イラン、そして中国にもおよぶ各地の諸要素が包含されているようにも感じられます。
西洋のものでもなく東洋のものでもない独特の趣をお楽しみくださいませ。
白銅 獅子香炉(はくどう ししこうろ)
・およその大きさ:w75×d130×h160(mm)
・およその重量:2.1kg
製品の色について
1点1点手作りであることから色合いに多少の幅がございます。予めご了承ください。
お買い求めについて
京都寺町二条の店舗の他、オンラインストアからもご購入いただけます。
・香炉の一覧
・青銅 三猿香炉
・唐銅 獅子香炉
・唐銅 豆獅子香炉
・白銅 獅子香炉
清課堂オンラインストアでは、この他各種新作も取扱いしております。