Review:彫金・鋳金・鍛金 金工部会展 2021

2021.05.09  展覧会 展覧会レビュー

2021年4月29日(木・祝)~ 5月5日(水・祝)、

日本工芸会近畿支部 金工部会による、「彫金・鋳金・鍛金 金工部会展 2021 ー日本伝統工芸近畿展五十回記念ー」が開催されました。

私ども清課堂は、2017年より日本工芸会近畿支部に協賛しております。本展覧会開催に際しても、全面的に協力させていただきました。

*公益社団法人日本工芸会は、文化財保護法の精神に則り、無形文化財の保護育成を図るために、工芸作家が中心となって昭和 30 (1955) 年に設立されました。創設以来工芸技術の発表の場として、また工芸技術の保護・育成のための「日本伝統工芸展」を毎年開催するとともに、伝承者の育成、調査研究、記録の作成、海外紹介等の活動を展開してきました。また、9支部(東日本・東海・富山・石川・近畿・中国・山口・四国・西部)及び 7部会(陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工・人形・諸工芸)を置き、「支部展」や「部会展」の開催など、それぞれ各地域や各専門分野の伝統工芸の発展と工芸技術の向上のための取組も行っています。


本展覧会はタイトルの通り、これまで継続されてきた日本伝統工芸展 近畿展の50回目の節目にあたり、金工に携わる部会による記念すべき企画展となりました。本展覧会に先立ち、2021年4月14日(水)~4月19日(月)には、第50回日本伝統工芸近畿展(京都会場・高島屋京都店グランドホール於)が開催されました。(大阪会場は、新型肺炎再流行による緊急事態宣言発出のため中止となりました)。


現在の近畿支部金工部会員のうち14名、作品数40点が一同に会しました。出品作家は以下の通りです。

上田 稔 (彫金)
越智 圭太郎 (彫金)
角谷 佳代 (彫金)
角谷 圭二郎 (鋳金)
角谷 征一 (鋳金)
角谷 勇圭 (鋳金)
金谷 五良三郎 (鋳金)
髙井 泰子 (鋳金)
髙橋 阿子 (鋳金)
中村 鎚舞 (鍛金)
野村 長春 (彫金)
三好 正豊 (鍛金)
山崎 誠一 (鋳金)
山本 夏顕 (彫金)以上、50音順


金工と一言で言いましても、技法による違いももちろんのこと素材の違い、作者それぞれの表現法の違いにより、幅の広い作品が展示されました。会場入り口付近では、比較的小ぶりの作品を展示しました。とくに微細な彫金が施された作品は、間近に目を凝らしてご覧いただくことが出来る展示となっています。


当清課堂ギャラリーの持ち味でもある、空間と作品の調和が感じられます。照明により作品がさらに引き立つ工夫もしています。写真の作品はは珍しい純銀をつかった蝋型鋳造の小作品で、非常に細かい地紋(じもん)が施されています。


簡素な作りの茶室ならではの展示。靴を脱ぎ畳に上ってみていただくことで、作品に寄り添うことが出来ます。とくに茶の湯道具や床飾りの作品は、この場所に映えた展示となりました。


土蔵のスペースは、独特の張りつめた空気感があります。凛とした、作品の緊張感がさらに高まりました。鉄素地に金銀等を打ち込む象嵌技法は、この薄暗い空間の中でひときわ存在感を出していました。


ご存じない方も多いかもしれませんが、関西圏の中でも大阪は、茶釜・鉄鋳物の盛んな地域です。伝統工芸近畿展の金工でも、茶釜はその代表する作品の一つです。茶の湯の制約の中で、作者それぞれの完成や思いがかたちに表現されています。

残念ながら、本展覧会の会期に重なるように4月25日(日)から5月11日まで(5月末日まで延長となりました)緊急事態宣言発出されました。会場は5名様上限の限定入場と予約制を導入したことで、お客様にはご迷惑おかけすることとなりましたこと、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

(清課堂:山中 記)