銀 金魚の根付

2012.07.31  装い

金魚鉢の中を、ゆらりゆらりと優雅な尾をなびかせて泳ぐ金魚。
見ているだけでなんとも涼しげな気分に。
昔の人々も、そんな金魚を眺めて涼をとっていたようです・・・

そもそも、中国で誕生した金魚。
日本には室町時代に、大阪の堺に伝わったのが初めのようです。
その後、時を経て江戸時代に入ると金魚文化が開花していきます。

江戸前期、金魚は一部の富裕層の人々が楽しむ贅沢品でした。
中でも、この時代の大阪の豪商、淀屋 辰五郎は飛びぬけた贅沢ぶりで、こんな逸話が残っています・・・
『夏屋敷と称してびいどろ(ガラス)の障子を立て、天井も同じびいどろに張り詰め、清水を湛えて金魚を放っている』
天井にガラスで作った大きな水槽を取り付け、その中に金魚を泳がせ下から眺め涼むとはなんとも贅沢なお話ですね。

江戸中期から後期にかけて、富裕層だけでなく一般庶民の間でも愛玩物として広まります。武士の副業として金魚の養殖がはじまったこと、また、金魚の飼育法、治療法等が書かれた手引書『金魚養玩草』(きんぎょそだてぐさ)が出版され、この本が金魚ブームを生み、たらいや火鉢で飼ったり、金魚玉(球体のガラス容器)に金魚を入れ軒下に吊るしたりして楽しんでいたようです。

後期には、金魚の大量生産が可能になり、流通の体制も整ったことで金魚の価格も下がり、金魚売りがたらいで売り歩いたり、金魚すくいもこの頃からされるようになったようです。
当時の浮世絵にも金魚が沢山描かれ、歌川国芳の『金魚づくし』ではとてもユーモラスで愛らしい金魚を見ることができます。

因みに・・・清課堂が錫師として現在地に創業したのが、ちょうど歌川国芳がこの『金魚づくし』を描いた頃になります。

銀 金魚の根付

この夏、そんな金魚をイメージし製作したのが金魚の根付。
愛らしい、涼しげな金魚に仕上がりました。
江戸時代の人々の様に、この金魚をめでて頂けたら・・・

(staff nakano)

 

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