家業として錫製品の製作を代々続けておりますが、当代は鍛金を会得としていることもあって、銀製品の製作も承っております。
特に、お客様のご要望に応じてお作りする誂えの品、オーダーメイドを得意としております。
この1年ほどを振り返り、製作した誂えの品を一部ご紹介いたします。
線香を持ち運ぶための香筒
線香もメーカーや用途によって長さが違うこともあり、お好みにより誂えております。
写真の品の大きさは、直径およそ2,5センチ、長さおよそ15センチ。
サラダトング
ヨーロッパでは量産品が多く作られてい、デザインも多種のものがございますが、意外とシンプルな形状かつ重厚なものが無いそうです。
お客様のイニシャルを彫刻し、またご自身で考えられた草をモチーフにした文様を入れました。(写真は製作中のもの。)
蓋置き
茶の湯で用いる蓋置きに、上下端に銀製の覆輪を誂えます。シンプルな形状に見えますが、自然の竹であるためにもともと少しの歪みがあります。ほか、焼き物、ガラス器にも同様の加工を施すことがあります。いずれも、歪んでいる固体それぞれ合わせて作らねばならないために手間と暇を要する難易度の高い仕事です。
硯箱の水滴
お客様がご購入された骨董の硯箱に水滴が付いていなかったため、箱に空いている窪みに合わせて水滴を誂えました。
硯箱の水滴に限らず、骨董の漆器にもともとついていた金属器、たとえば花見重箱の徳利など、それだけでも高くうれたのでしょう、紛失している場合が多いと思います。
帯留の金具
宝石や焼き物などで作られたものに、金具だけを後から作り帯留に仕立てることも多いです。
これは、帯留本体部分がクリスタルで出来ているために、表から見て金具が映らないように計算してお作りしました。
透明な半球状の帯留に爪をたてて固定、帯を通す金具部分は出来るだけ細く、かつ見えないように工夫しました。
純銀の厨子
ご旅行で海外へ行かれたお客様が、小指大の小さな金製の仏様を手に入れられたそうです。これを大切に仕舞い持ち運ぶための、純銀の厨子を製作しました。
銀製の印籠
ピルケースとしてお使いいただけるように、首から提げられるような工夫と、本体の大きさを吟味して製作しました。
総純銀製の香炉
家宝になる香炉を、とのご要望でお作りしました。6つの瓢箪の透かし彫りを施し「無病」をあらわし、不老長寿のしるし亀甲、平穏で清らかなこころ六根清浄のかたち六角になっています。
打ち絞って成形する鍛造は、上から見て丸いものの方が安易に形作れますが、このような正六角形の成形は難を極めます。
銀製の飯ごう
2013年、徳川最後の将軍慶喜没後100年を迎えました。
徳川慶喜は晩年、銀製の飯ごうで飯を炊いたそうです。
没後100年祭にむけて製作したものです。
実際に火にくべ炊飯しますので、取っ手(つる)の部分のみ硬い92.5%の銀を用いました。
(Yamanaka)