青銅製の矢立。作者は不明。矢立をご存じない方も増えましたが、筆、墨を持ち運ぶための携帯用文房具です。長年使い込まれ、青銅の良い味がにじみ出ていました。銀製の蓋の蝶番(ちょうつがい)が、長年の使用でねじ切れています。
蝶番は、二つの複雑な板と心棒によって構成されています。局所に強い力が加わるために、柔らかい銀で作ることは意外と困難です。さらに見た目のシンプルさとは裏腹に、曲面に蝶板をぴったりと這わせる成形加工も難しいところです。
金属疲労でねじ切れてしまった蝶番は、もう再利用は出来ません。今回は心棒も切れていたので差し替え、蝶番の片方を新調しました。
修理について
弊堂では、洋の東西を問わず金属工芸品の修理を承っております。日々作り続けているもの、オーダーメイド品の他にも、傷んだ金属工芸品の修理も私どもの大切な仕事です。物理的な可否や工費の大小はございますが、まずは私どもにご相談ください。詳しくは「修理について」をご覧ください。
※他社製品の修理に関して:金属製品は他の素材に比べ寿命が長